上野山内月のまつ　ーうえのさんないつきのまつー

歌川広重名所江戸百景より

上野山内月のまつ

うえのさんないつきのまつ

水彩にて　模写絵師つねきち

上野にある清水観音堂近くには

満月の形に見立て、形を整えた

「ぐるぐる松」と呼ばれる

松の木の枝がありました。

その、ぐるぐるの枝の中には、不忍池があり

その向こうに本郷台の街並みや、火の見櫓などが見えています。

徳川家康は風水を取り入れた街づくりを

目指していましたが、

実際の都市計画をすすめたのは

天台宗の大僧正である天海。

江戸城から見て表鬼門にあたる場所に

上野寛永寺を設立し

自らがそこの住職となりました。

そして、裏鬼門にあたる場所には

現・永田町の日枝神社を置き、

江戸城と表・裏鬼門を一直線に並べたそうです。

一説によると

家康が幕府を開いた後も

天下統一を諦めなかった伊達政宗が

ちょうど、江戸城の表鬼門の方角に

位置していたといいます。

江戸の三代祭りである

神田神社の神田祭

浅草寺の三社祭

日枝神社の山王祭は

この表・裏鬼門を清めるものだそうです。

ぐるぐる松の下にあるのが

琵琶湖の弁財天をリスペクトして建てた

「水の神」。

弁天様が琵琶をひいている姿があるので

「芸能の神」と崇めらるようになりました。

それにしても、見事な枝ぶり。

結界のように切れ目のない、完璧な円です。

この松は、明治時代の台風で

倒れてしまったそうですが、

私たちを守ってくれていたのかなぁ、なんて

思ってしまいます。

こんなに立派で存在感のある木ですから

そう見えても不思議ではありませんね。

上野寛永寺にある清水観音堂はこちら↓でご覧ください。