柳しま ーやなぎしまー
歌川広重名所江戸百景より
柳しま
水彩にて 模写絵師つねきち
現在の墨田区から江東区にかけて
北十間川と横十間川という二つの川が
交差している場所がありました。
(絵の上側を横に流れるのが北十間川です)
それぞれの川幅が十間(18m)あったので
この名前がついたそうです。
この辺りは川の氾濫も多く
小梅堤という堤防がつづいていました。
右上にあるのが柳島橋。
その袂に「橋本」という料亭が見えています。
橋本は若鮎で有名な懐石料理屋でした。
そして左側に見えるのは法性寺(ほうしょうじ)。
ここは芸人や芸術家にご利益のある寺で
葛飾北斎も訪れていたそうです。
つねきちがいつも以上に
特に念入りに描き込んで仕上げたので
隅々までよく見えるよう
画像を大きめに配置してみました。
特に緑の色重ねが丁寧で
見れば見るほど深みが出てきます。
屋根船にはお金持ちの旦那衆が乗っていて
亀戸の梅見物をしたり
妙見寺さま(法性寺)参りをしたあと
橋本でごちそうを食べ
吉原で締めるという
贅沢な遊びを満喫していたようです。
遠景も大きめ画像でご覧ください。
絵の上半分にあたるこちらは
請地村(うけじむら)といい
田畑や集落が並んでいたようです。
この辺りも、つねきちが丹念に描きこんでいます。
遠くの山は筑波山といわれていますが、
じっさいのこの方角には
秩父連山があったそうです。
そして、現在ではスカイツリーが
そびえ立つ場所となっています。
いつものサイズで、もう一度ご覧下さい。
どこを見ても
本当に細かく描かれています。
この絵はシリーズ前半の春の部にあったものですが、
何故かひとつだけ飛ばして
後から描きました。
数字的なものには
こだわりのあるつねきちですが、
時々こんな感覚派的な振る舞いをします。
しかし、こうして見ると
絵の中心に位置するのは料亭です。
どうやら「橋本」の宣伝にも使われたよう。
江戸風味のポスター広告に
味わいと趣を感じる
風流な一枚となりました。
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