逆井のわたし ーさかいのわたしー


歌川広重名所江戸百景より

逆井のわたし

水彩にて 模写絵師つねきち


現在の江戸川区付近では

江戸と下総(千葉県北部)を結ぶ

街道が開かれ

その中川には

逆井のわたしという渡し場がありました。

逆井とは

満潮時この川に海水が逆流していた事から

その名がついたそうです。

対岸にある船着場の小松川村には

家々そして松林があります。

この村で採れた名物は

小松菜でした。

湿地帯に生い茂る葦(ヨシ・アシ)は

白鷺(小鷺)たちのかっこうの隠れ場です。

彼らはこうして水辺で

魚やザリガニなどを食べ

暖かい場所を求め移動します。

繁殖の時期には集まり

「サギ山」という集団繁殖地を築きます。

夏場になると、冠羽(かんう)といって

こんな風に頭に長い羽が生えてきます。

人の子供も

この季節には

急に背が伸びたりしますね。

華々しい名所の雰囲気とは

少し違いますが

当時の風流人たちが

江戸の喧騒を逃れ、癒しを求めた

静かな田園地帯です。


つねきちの優しく柔らかな線で

描かれた白鷺たちが

ふわりふわりと風にのり

「サギ山」で命を育む姿。


逆流という自然にも抗わず

のどかな時を楽しむ

そんな気持ちを持って

暮らしていきたいものです。

模写絵師つね吉八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つね吉が描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つね吉流儀」をお楽しみください。

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