増上寺塔赤羽根 ーぞうじょうじとうあかばねー

歌川広重名所江戸百景より

増上寺塔赤羽根

ぞうじょうじとうあかばね

水彩にて 模写絵師つねきち

増上寺は現在の港区芝公園にあり

三代将軍徳川家光の時に菩提寺として、建立され

約3,000人を擁する大きなお寺でした。

五重塔とはもともとは

お釈迦様の遺骨を奉安する為に

作られた仏塔で

塔の一階から上にかけて

地・水・火・風・空

の五代思想にあて

仏教的な宇宙感をもたせたものです。

手前に見えるアーチ型の橋は赤羽橋

その向こうに長く続くグレーの塀は

赤羽根の有馬様(久留米藩有馬家上屋敷)のもの。

絵の左上部にある邸内の火の見櫓は

江戸で一番高く6mの高さがありました。

有馬家はこの辺りの警備をしており

特に消防活動が有名で

「久留米の火消しは有馬火消し」

と呼ばれるほどだったそうです。

有馬家の敷地内には水天宮もあった為

「そうでありまの水天宮」

と江戸庶民に言われる程人気がありました。

この五重塔は東京大空襲でなくなりましたが、

今でも続く久留米市消防団は

とても優秀で立派なご活動をされているそうです。

鮮やかな赤を効かせたこの構図から

常に災害と隣合わせでありながら

強く美しく生きていた

江戸庶民の息遣いが聞こえるよう。

その姿は現在を生きる私たちの心を

きりりと引き締めてくれます。



模写絵師つね吉八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つね吉が描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つね吉流儀」をお楽しみください。

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