赤坂桐畑 ーあかさかきりばたけー


歌川広重名所江戸百景より

赤坂桐畑

水彩にて 模写絵師つねきち

2020年2月26日に完成



現在の赤坂二丁目付近には

湧き水をせき止めて作られた人工の溜池があり

神田・玉川上水ができるまで

庶民の生活用水として使われていました。


そして、溜池の周囲には地盤を強くする為

桐の木がたくさん植えられたので

この辺りは「桐畑」と呼ばれていました。

桐は日本の気候と相性がよく

成長が早いのも重宝がれたようです。

また、桐は「鳳凰のとまる木」と言われ

神聖な木として家紋などにも多く使われています。


昔はその家に女子が生まれると

庭に桐の木を植え

その子がお嫁に行く時に

箪笥を作って持たせた、という話もあります。


軽くて丈夫、湿気や火気にも強い桐は

日本人に大いに愛され

よそ行きの下駄を作る程、大人気だったようです。

この桐の向こう岸は

町家や武家屋敷で栄えていました。

明治の頃には赤坂田町として

また昭和には高級料亭が並ぶ地域となります。

溜池ができる前までこの地は

雨水が溜まるゆるい窪地だったそうです。

それを整備させたのが

築城名人と呼ばれる太田道灌。


この溜池は明治時代に

埋め立て工事で姿を消しましたが

桐の木を主役としたこの絵から

当時のさまざまな日本の文化を

読み取ることができます。


梅雨どきの夜明け前を描いた

といわれるこの作品を見ていると

神聖な木に囲まれ

守られてきた私たちの国に

永遠に日が昇るよう

大切に日々を過ごしたいと思います。

模写絵師つね吉八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つね吉が描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つね吉流儀」をお楽しみください。

0コメント

  • 1000 / 1000