王子不動之瀧 ーおうじふどうのたきー

歌川広重名所江戸百景より

王子不動之瀧

おうじふどうのたき

水彩にて 模写絵師つねきち


江戸時代、石神井川は流れが早く

七つの滝があることで有名でした。

そのひとつ、王子不動之瀧は

病が治るといわれ、沢山の人が訪れていたそうです。

七つの滝の中でも一番人気があったという

このパワースポットには

ふんどし姿で水を浴びる人

お茶を出す人

それを飲みくつろぐ人

などがいます。

室町時代、学仙坊という修行僧が

この地に庵をむすび

正受院を置きました。

その秋に

この川の中から、不動像を見つけた事から

不動之瀧と呼ばれるようになりました。

不動明王とは

仏教の中心であり

大日如来(密教の本尊)の化身

とも言われています。

この時代、土地の守護と繁栄のため

江戸には六ヶ所の不動尊が置かれました。

それぞれの方角により

目黒・目白・目赤・目青・目黄と呼ばれ

目黒と目白は地名として使われました。

まっすぐな瀧の流れは

不動明王の持つ倶利伽羅剣(くりからけん)

を表しているともいいます。

倶利伽羅剣とは

不動明王が右手に持つ

龍が巻き付いた剣で

三毒をやぶるものだそうです。


三毒=貧・瞋・癡(とん・しん・ち)むさぼる・にくむ・おろか等の煩悩

今回この絵を母が見た時

すごく特別なものを感じました。

滝というより

天と地を結ぶ柱のような存在感。

そして、その向こうに広がる奥深い世界。

絵じたいはどんどん細かくなっていて

木の幹や葉の陰影など

重厚な雰囲気もありますが

気迫とでもいうのでしょうか。

つねきちは自分でも無意識のうちに

魂を込めているのだと思います。

王子不動之瀧は

昭和33年に起きた狩野川台風のあと

その姿を消した(人工的に)そうですが

この絵を見ていると

現存しているようなエネルギーを感じます。

そう、この絵からは

ゆるぎのないもの

を感じます。

ゆるがない心。

模写絵師つねきちが純粋な器として描き

見るだけで、お守りになってくれそうな

特別な作品であるという気がするのです。

三毒を破る。

それぐらいの強さを

人の心に持てたら、と思います。



模写絵師つね吉八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つね吉が描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つね吉流儀」をお楽しみください。

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