昌平橋聖堂神田川 ーしょうへいばしせいどうかんだがわー


歌川広重名所江戸百景より

昌平橋聖堂神田川

水彩にて 模写絵師つねきち


現在の千代田区神田淡路町あたりにある

神田郵便局付近に架かる橋は

孔子の故郷から名をとり

昌平橋と呼ばれていました。

絵には欄干のみが描かれています。

昌平橋は江戸時代

何度も火災や水害で倒壊しており

その度に再建を繰り返し

第二次世界大戦に至っては

鉄材供出の為に撤去され

そしてまた復元

2012年には長寿化の為の

補修工事がなされた現存の橋です。

そもそも神田川というのは

幕府が江戸の治水整備の為に掘らせた

人工の川であり

川幅も狭く周囲の切り立ちも激しくなっています。

坂に沿って建っている白い建物たちは

徳川綱吉によって建てられた湯島聖堂。

徳を重んじる文治政治を行っていた綱吉は

儒教の熱心な信者でした。

儒教とは

孔子という中国の思想家から

はじまったもので

その弟子たちによって

記録された”論語”には

「故きを温めて新しきを知る」など

日本の諺とも化している教訓が

掲載されています。


※孔子は四聖人(釈迦、キリスト、孔子、マホメット)

の中にも入っています。

そんな思想と学問の象徴でもある

孔子廟の前を

沢山の人々が歩いています。

これは今でも見られる光景。

受験生にとってはパワースポット。

湯島天神と共に

合格祈願に訪れる場所です。

神田川で働く人々

そして信心を胸に坂を歩く人々に

夏の雨は恵の粒となって

やさしく降りかかります。

いつもは雨線を描かないつねきちも

今回はさりげなく

人をよけながら

線を描いていました。

川の治水も信仰も

人を救ってくれるもの。

日々に流されていると

つい、忘れてしまいますが

この絵を見ながら

そっと思い出して感謝しようと思います。



模写絵師つね吉八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つね吉が描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つね吉流儀」をお楽しみください。

0コメント

  • 1000 / 1000