王子音無川堰埭世俗大滝ト唱 ーおうじおとなしがわえんたいせぞくおおたきととなうー
歌川広重江戸百景より
王子音無川堰埭世俗大滝ト唱
おうじおとなしがわえんたい せぞくおおたきととなう
水彩にて模写 つねきち
江戸時代、王子のあたりは
日帰りでちょっと遊びに行ける、眺めの良い場所として
近隣から人気がありました。
音無川は現在の石神井川です。
ここに小さなダムがあり
その音の大きさと流れの速さから
大瀧(おおたき)と呼ばれていました。
それでいて音無川、という名前なのは
和歌山県の熊野権現、紀州音無川に由来している為です。
今風の表現なら
熊野権現さまをリスペクトしている
ということになるでしょう。
滝の所で修行をしてるらしき人々がいます。
絵の題名になるほどですから
大きな声でお経を唱えていたのかもしれません。
こちらでは魚を捕まえているようです。
捕獲した物は近くの料亭に売りに行きます。
汚染の心配もなかった時代ですから
新鮮な食材として喜ばれたことでしょう。
別棟の寺院や茶店が見えています。
左上に見える丘は飛鳥山だそうです。
音無川は昭和30年代から整備され
親水公園として生まれ変わりました。
春は桜、秋は紅葉の眺めが美く
日本の都市公園100選に選ばれています。
不自由や苦労の多かった時代に
自然と共存し、その中で楽しみを見つけていた人々。
ちょっと工夫をしたり見方を変えてみれば
今の私たちにも実践できることはありそうです。
水は命の源。
その大切さをもう一度思い出し
自然と共に生きる気持ちを
いつも忘れないでいたいものです。
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