赤のカフェ
ファン・ゴッホ
夜のカフェ
油にて模写 つねきち
1888年9月ごろ
ゴッホがフランスのアルルに滞在していた時の作品です。
この頃ゴッホはあの有名な”黄色い家”を借りていましたが
寝具が揃っていなかったので
すぐ近くにあるラマルティーヌ広場の
このカフェ・ドゥ・ラガールで寝泊まりをしていました。
カフェ・ドゥ・ラガールは深夜営業の居酒屋で
異種多様な人々が集まる場所でした。
ゴッホは弟テオに宛てた手紙にこう書いています。
「大衆居酒屋の闇の力をありのままに表現しようと試みた。」
「赤と緑を使って人間の多様な感情を表現したかった。
部屋濃い赤と薄い黄色、中央には緑のビリヤード台。
レモンイエローで描かれた4つのランプはオレンジと緑に光を放つ。
赤と緑が異彩を放つ組み合わせだ。」
確かに個性的で独特な雰囲気ですが
つねきちの明るいタッチと
細部までのこだわりが
この絵を健全なワールドに蘇らせています。
ビリヤード台の下の床にご注目下さい。
ベタベタと描きなぐった風の模様の中で
混ざり込む明るい色彩。
それは、暗い夜の中で煌々と明かりを灯すランプのように
絵全体を照らしています。
この頃ゴッホは
友人・ゴーギャンとの
黄色い家での共同生活を企画していました。
その後、弟テオからの仕送りで
家具と寝具を揃えたゴッホは
ゴーギャンが来る前に
家に飾る為の絵を何枚も描きます。
そのうちのひとつ
「夜のカフェ・テラス」
(つねきち油模写)
全く別のカフェを描いていて
煌びやかな雰囲気があります。
天才画家の苦悩から生まれた
数々の美しい作品は
今を生きる私たちの想像力をかきたて
癒しをもたらしてくれます。
時代も人種も関係なく
じっといつまでも見つめていられる不思議な絵画です。
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