日暮里寺院の林泉 ーにっぽりじいんのりんせんー

歌川広重名所江戸百景より 日暮里寺院の林泉 

 水彩にて模写 絵師つねきち 


 林泉とは山水を形取った庭園のこと 

 日暮里の辺りはむかし東叡山の領地だったので 寺院が多くあり 

 特に青雲寺、 修性院、妙隆寺の三つは 工夫を凝らした庭園を持ち 

 その美しさを競い合うほどでした。  


そのひとつである、ここ修性院では 

 絵の右下に見える(少しわかりづらいですが) 

 帆掛け船を形どった園芸が人気で 

 多くの観光客で賑わっていました。   



桜やツツジが満開の庭園を楽しみながら 

 富士見坂を歩く人々がいます。 

 山の傾斜を利用して建てられ 

 坂の上には石碑が並んでいました。

坂の先に見える建物は 三十番神堂、

 番神という経典の 守護神のお堂です。 

 三十番神とは、神仏習合の信仰で 

 国や民を日替わりで守る三十柱の神々のこと。 

 平安時代に最澄が比叡山に祀った事がはじまりで 日蓮宗の布教に伴い広まりました。 

 明治時代には神仏分離の為、禁止になったそうです。

江戸時代中頃には 日暮里は新堀という地名でした。 

 それがあまりに景色が美しいので 

 ひぐらしの里 日暮里になったそうです。 

 今ではすっかり景色も変わった場所ですが 

 修性院は妙隆寺と合併になり

 谷中七福神のひとつ、ひぐらしの布袋様が 

 祀られているとのこと。 

 四季をモチーフとした布袋尊のイラストなどが 

 人気のパワースポットとなっています。 

 世界地図で見れば小さな日本ですが 

 さまざまな逸話や美しい景色に恵まれた国です。 

 競い合うほどに磨かれた庭園も文化の宝庫。

 今を生きる私たちも 

 この宝物を大切に

次世代に残さなくてはと思います。  




模写絵師つね吉八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つね吉が描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つね吉流儀」をお楽しみください。

0コメント

  • 1000 / 1000