千駄木団子坂花やしき ーせんだぎだんござかはなやしきー

歌川広重名所江戸百景より 

千駄木団子坂花やしき

水彩にて模写 つねきち


江戸時代に、千駄木植木屋宇平次が開いた

四季折々の植物花屋敷

その中にある紫泉亭は

花見の時期になると多くの観光客で賑わっていました。


この、群雲(むらくも)のような桜が

玉響(たまゆら)に奏でる協奏曲に

吸い寄せられるように

群衆が集まっていたそうです。

合間に見える他の植物たちも

この時期は桃色の春霞に埋もれています。


奥にある2棟の立派な建物は3階建てで

露天風呂があり

当時の上流階級の人々を中心とした

大人気スポットで

将軍定公も訪れたといわれています。


その前にあるのが団子坂です。

この辺りは安政の大地震で崩れ

小さな茶亭や灯籠などが

崖の下まで崩れ落ちたそうですが

その後、復興した後にこの絵が描かれたようです。

安政の大地震は

今から160年ほど昔に起きた

相模湾を中心とした南関東直下型で

江戸湾の高潮で多くの被害があったそうです。


その大地震でも無事だったというこのお屋敷に

つねきちワールドの人々が見えます。

露天風呂は描かれていませんが

落ち着いたよい部屋の雰囲気を感じます。


大地震の翌年に

江戸壊滅の日、と呼ばれる台風がありました。

この安政の台風の時

江戸では多くの家が潰れました。

この頃の江戸は天災続きで

幕府の財力が消耗していき

その後の倒幕にもつながりました。

災害そして

人の世の移り変わりに抗う事はできませんが、

夢のように美しい花景色の思い出は

人々に復興への力を与えてくれる事でしょう。

何度でもくじけずに

立ち向かう姿こそ

この世の春といえましょう。

そんな風に前向きな気持ちにさせてくれる

華やかな庭園風景です。


模写絵師つね吉八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つね吉が描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つね吉流儀」をお楽しみください。

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