神田明神曙之景 ーかんだみょうじんあけぼのけいー
神田明神曙之景 歌川広重名所江戸百景より 水彩画
模写絵師つねきち
神田明神はかつて千代田区大手町付近にあり
霊験あらたかな社として 僧侶や武将から崇拝されていました。
そして戦勝祈願をした徳川家康が 神田祭の日に天下統一を果たせた事から
その後、幕府の尊崇する神社となり 社殿が増設されました。
明治時代に入り 神田明神から神田神社に改称され
現在ある位置の外神田2丁目に移され
江戸城の表鬼門守護としての役割を担っていたそうです。
絵の中にいるのは神主。
そして巫女と仕庁(しちょう)で
皆で東側を向き
初日の出を待っている様子です。
この絵が描かれた二年前には 安政の大地震があり
その復興を祈る意味で夜明けが描かれた と解釈されています。
また、のちに起きた関東大震災での被害も大きく
その後、神社は
鉄筋コンクリートに建て直されました。
中央にある松の木の幹を つねきちが丹念に描き込んでいます。
少しかすれた筆づかいで
樹木の質感を出しているのがわかるでしょうか。
神田祭は江戸三大祭のひとつで
山車が江戸城中にまで入っていたほどの盛り上がり
天下祭とも呼ばれたいたようです。
今でも神田囃子は都の無形民族文化財に指定されています。
この時代は天災が続いたり
またそののちも戦争による被害がありました。
人々は信仰 に支えられ 神への感謝の気持ちで前にすすみ
私たちの国は復興への道を開くことができました。
無形民俗文化財、という言葉に見えるように
無形の中にこそ尊さがあり 勇気と力を与えてくれる。
神前の結婚式も挙げている 現在の神田神社には
大黒様、えびす様、平将門様が 祀られているそうです。
神の姿は実際には見えませんが 信ずる心は絆を作ります。
苦しい時ほど心を合わせ 共に日の出を待つ。
その気持ちを忘れずにいたいものです。
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