大てんま町木綿店 ーおおてんまちょうもめんてんー
歌川広重名所江戸百景 大てんま町木綿店より水彩画
模写絵師つねきち
現在の中央区日本橋一丁目あたりは 江戸と地方とを結ぶ流通の地となっていました。
江戸の伝馬を多く抱えていた事で その名がついた大伝馬町(おおでんまちょう)は
小伝馬町の駅名や町名として残っています。
のれんの手前から 田端屋、升屋、嶋屋という 木綿店が並んでいます。
長屋というと江戸の庶民的なイメージですが、ここに居るのは老舗の大店ばかり。
火事の多かった江戸では 被災後の店の復興に命運がかかっていた為 、
長屋作りで連帯意識を持って商売をしていたそうです。
これが大伝馬独特の店舗方式。
長屋の中は同業者が
パーテンションで仕切られていました。
暖簾の間から 田端屋の中が見えます。
耐火構造の土蔵づくりで屋根の上に天水利用の
防火用水が置かれていました。
屋根の上に見えるのがそれですね。
芸者が二人とお付きの少女がいます。
お客の所で仕事を済ませお酒も振る舞われ、その帰りがけだろうと言われています。
確かに着物姿にもくだけた雰囲気があります。
つねきちの描く芸者たちの顔は 原画よりだいぶ酔っている表情ですよ。
間に見える少女の
少しつまらなそうな顔が対照的。
芸者の着物は厚手の綿入れ。
季節は冬なのでしょう。
また、この絵は宣伝だったとも言われています。
今でいう
ショッピングモールのパンフレット
という所でしょうか。
整然と並ぶ専門店街を 温かくお洒落な着物で歩く女性たち。
つねきちのタッチが 少しくだけた、ゆるやかなムードを醸し出しています。
人の世の荒波で 楽しみを見つけ作り出していく
その感覚は 遠い昔から人類の中にあるようです。
そして経験から得た工夫が 日々を充実させます。
学びのある毎日を送りたいものですね。
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