京橋竹がし ーきょうばしたけがしー

歌川広重・名所江戸百景・秋の部より 

 「京橋竹がし」 

 つねきち水彩にて模写 


 京橋は日本橋から京都に向かう 

 東海道の旅で、最初に渡る橋。 

 「京につながる橋」なので「京橋」 

 と名付けられました。

この辺りには当時の人々の生活に欠かせない 

 竹を扱う市場があり 

 大量の竹材が置かれていました。   

この竹は建築や生活用品 

 (ザル・食器・ほうき・ついたてなど) 

 の材料となっていました。 

 絵の手前から、奥まで続く竹の線。 

 これを、細筆一本でえんえんと

描き続けたつねきち。

 見ているだけで、目眩を起こしそうです。 

 竹列の上部には 

 月明かりが落とした影も ちゃんと、あります。

橋の上を歩く男たち。 

 その手元には梵天(ぼんてん)

という神具が 見えています。 

 100万人と言われる江戸の人口 

 その中の20万人が 毎年訪れたという

「大山詣り」は 

 鳶などの職人が、巨大な木太刀を江戸から担ぎ 

 現在の神奈川県伊勢原市にある「大山」

に 参拝をするものでした。 

 梵天は、その帰りであるしるし。 

 大山詣でには手形も要らなかったので 

 多くの人が訪れたといいます。

頑丈に造られた木の橋桁。 

 その下で、つねきちワールドの船頭が 

 満月を眺めながら、船を漕いでいます。 

 水面に置かれた線の一本一本にも 

 素直な温かみが感じられます。

つねきちにしては珍しく 

 シックな色彩でまとめられた構図ですが 

 時々ちょこんと見える赤い差し色から 

 栄える江戸の雰囲気が伝わります。 

 この竹材が並んだ辺りには 

 現在は高速道路があるようです。 

 漏らさず余さず 隅々まで丁寧に仕上げた、

つねきちの 

 ひたむきな情熱が 

 胸に染み入るような一枚です。


模写絵師つねきち八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つねきちが描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つねきち流儀」をお楽しみください。

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