相州箱根湖水 ーそうしゅうはこねこすいずー
箱根湖水とは芦ノ湖のこと。
北斎の三十六景の中でも珍しい 人や生き物がいない風景の描写です。
天下の瞼と呼ばれる箱根そのものが ここにあります。
左にあるのが三国山、
右側の丸い形が駒ヶ岳です。
北斎の絵によく出てくるこの雲は 奥行きを表すための雲型の霞。 世界の歴史上トップレベルに位置する葛飾北斎が 西洋の遠近法と東洋の大和絵の技法を 惜しげも無く盛り込み 全身全霊で描いていたことがわかります。
右側に小さく見える紺色の箱根神社の森は
鎌倉幕府の歴代将軍たちから崇拝されていました。
静かな空気を感じさせる すっきりとした色の快晴の富士。
控えめな登場とはいえ
しっかりとした存在です。
わさび色の丘に、茶の塗りぼかしが
今日もいい味出してます。
原画とは異なるつねきちの着色ですが
初刷りはこんな風だったのかもしれません。
絶景・箱根湖水。
ここに人はいませんが、絆はあります。
それはご先祖様との絆。
いま、こうして私たちが生かされているのは、過去を紡いできた人々の存在があったからこそ。
どんな時でも生き抜いてくれたから、いまの文化があるのです。
大自然はもともとあったかもしれないが、絶景を見つけ伝えてくれた存在に
感謝の気持ちで今日も幸せに顔を向け、生き抜いていく事こそが私たちの使命といえるでしょう。
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