相州梅沢庄 ーそうしゅううめざわのしょうー
梅沢庄は大磯と小田原の間にある 人馬の休息所でした。
人がいない富士と丹頂鶴だけの世界は 当時、お正月の売り出し用であったと言われています。
「寿」
と、題をつけたくなりそうなワンシーン。
どことなく逞しい雰囲気の鶴の群れです。
ぽってりとした豊潤な富士がいます。
つねきち技法
”塗りぼかし”がきいています。
塗り込みがさらに丁寧になりました。
じょうずに描いてね、と言ったことはありません。
いえ、じょうずではなく、うまい。
味がしみてきた、というところでしょう。
清廉というよりは豪胆な雰囲気のつねきち流丹頂鶴。
朝ぼらけ 青富士に二羽の 丹頂鶴
(by つねまま)
類稀なる才能を持ちながら、「お正月用のデザイン」という大衆の要望にもしっかり応え、描き続けた北斎。
厳しい人の世で逞しく生きることは 必要とされること。
人々に認めて貰えてこそ、生かされる。
そんな方程式も北斎は教えてくれます。
そして、つねきち流のふっくらとした着色は お腹いっぱいで年を越し、不自由のない一年がやってくる証です。
きっと生かされる年になることでしょう。
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