東海道江尻田子の浦略図 ーとうかいどうえじりたごのうらりゃくずー

東海道江尻田子の浦略図 とうかいどうえじりたごのうらりゃくず 

富士が最もよく見える場所といわれる静岡県田子の浦。

田子の浦 ゆうち出てみれば 真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける 

 (万葉集 山部赤人) 

 ※田子の浦を通って視界の開けた場所まで出てみると 富士山の高いところに真っ白な雪が積もっているよ という歌をそのまま表現したと言われている絵です。 

四艘描かれているうちの二艘が 対称的な弧を描いています。 

 荒波に浮かぶ大きな船の上で 苦しそうに漕ぐ人夫たちの表情まで細かく描写されています。

きわどい場所で漕いでいるのが船頭なのでしょうか。 人々が働く美しい姿です。 

海岸では塩焼きを楽しむ人たち。 ちいちゃなミクロの可愛らしい風景です。 

 大自然という舞台の中で 癒しの一幕、というところでしょうか。 

 生い茂る木々の葉は海外の画家も真似た北斎タッチ。

 つねきちもきちんと描いていますよ。 

富士の高嶺に降りける雪。 絵はがき等で見かけるようなはっきりした鹿の子模様です。 

冨嶽三十六景の最初は有名な神奈川沖浪浦。

そして三十六枚目になるのが、この東海道江尻田子の浦略図。 

 江尻=絵尻 絵の最後、という意味です。 

絵の題・二艘の船・そして不動の富士と動き続ける人々。 

 絶妙な語呂合わせで整えられた 北斎の世界もまた 揺るがない不動のもの。 

そしてその文化を現世に伝え 動きをもたらす 模写器(もしゃうつわ)つねきち。 

締めの絵とはいえ この後、北斎は追加の十枚を描いています。 そしてつねきちも まだまだ続けます。



 http://atreshibutani.jp.net


模写絵師つね吉八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つね吉が描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つね吉流儀」をお楽しみください。

0コメント

  • 1000 / 1000