市中繁栄七夕祭 ーしちゅうはんえいたなばたまつりー

歌川広重名所江戸百景より

市中繁栄七夕祭

しちゅうはんえいたなばたまつり

水彩にて

模写絵師つねきち

江戸の商家が並ぶ中

天にそびえる無数の笹竹。

今では夏のお祭りですが

当時の旧暦で7月7日は、現在の8月9日あたり。

江戸時代、七夕は秋のお祭りでした。

屋根や物干し場など、家の最も高い所に飾り

武家も町人も、その長さを競ったという笹竹。

そこに飾られているのは

商売繁盛を願う大福帳や、そろばん

大漁や豊作を願う、西瓜や 魚の絵、

そして、無病息災を願うひょうたんなど。

その種類は家や町ごとで異なっていたそうです。

絵の右下の方にちらりと見える浴衣は

広重本人の物ではないか、と言われ

その少し上に小さく見える火の見櫓が

広重の生まれた八代洲火消し屋敷のもので

これは、広重の家の物干し場から描いた景色では、

と言われています。

秋風にそよぐ

七夕に込められた、人々の思い。

それを受け止めるかのように

どっしりと腰をおろす富士の山。

この盛大な節句の飾りは

当日の未明から飾られ

夕方には取り払われて、川や海に

流されたそうです。

織姫と彦星の伝説は奈良時代に中国から伝わり

はじめは宮中の行事とされていましたが、

江戸時代の寺小屋普及から、庶民にも広がり

五節句のうちのひとつになりました。


風がかきわける富士山への道。

それは人々の祈りを届けます。

どうか復興したこの姿が

永遠に続きますように。

節句は神への感謝の印。

だから、世代を超えて受け継いで欲しい。

節句や行事にこだわりのあるつねきちが

先人たちのそんな思いを受け止め、描いた作品です。




模写絵師つね吉八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つね吉が描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目は時空を超えて当時の景色をそのまま映しているのです。 そんな独特の「つね吉流儀」をお楽しみください。

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