五百羅漢さざゐ堂 ーごひゃくらかんさざいどうー
歌川広重名所江戸百景より
五百羅漢さざゐ堂
ごひゃくらかんさざいどう
水彩にて 模写絵師つねきち
現在の江東区大島にあたる場所に
江戸時代、日本初の羅漢堂が誕生しました。
このお堂の中が
まるでサザエのように渦を巻く作りだったので、
さざゐ堂と名付けられました。
羅漢とは仏教において
最高の悟りを得た聖者のことで
西国に33カ所、関東に33カ所、秩父に34カ所
合計100の霊場で祀られており
そこを巡礼する事が、当時のブームとなっていました。
さざゐ堂ではそれらを凝縮し
遠くまで行けない人々も
この一箇所で巡礼が叶うよう
500体を超える観音像を安置しました。
お堂の外見は二層ですが、中は三層になっていて
下からスロープを右回りに3回昇ると
全ての像に参拝ができ
帰りは別の階段から降りたそうです。
まるで小さな宇宙のような
お堂を巡ると
一番上は展望台になっていて
ここからの眺めが非常によく
たくさんの人々で賑わいました。
こちらは葛飾北斎・富嶽三十六景より
五百らかん寺さざゐ堂
約二年前に、つねきちが描いたもの。
お堂の最上階で
富士山の見える絶景を、楽しむ人々がいます。
実際の参拝ルートは
土間づくりの一般用と
板張りの上客用に、分かれていたそうですが
ここでは刀をさした武士や
休憩をする商人
子連れの芸者など
身分を超えて集まる姿がわかります。
二年前と比べ、より細かい描写となった
つねきちの筆づかい・色づかいも
わかっていただけるかと思います。
鮮やかでありながら、渋さも感じさせる
風情のある雰囲気と
あたたかみがあります。
このさざゐ堂は残念ながら
安政の大地震で倒壊してしまったそうですが、
独特の建築方式は伝わり
今でも全国各地で
羅漢寺を見る事ができます。
現代ではスカイツリー等にあたる
江戸時代の展望台。
そこにはビルや高速道路もありませんから、
今よりずっと開放的で
壮大な風景が見られた事でしょう。
そのことを頭に浮かべながら
先人たちが残してくれた
この素晴らしい文化を
守り続けていきたいと、思うのです。
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