綾瀬川鐘か渕 ーあやせがわかねかふちー
歌川広重名所江戸百景より
綾瀬川鐘か渕
あやせがわかねかふち
水彩にて
模写絵師つねきち
隅田川は千住大橋を過ぎた辺りで
綾瀬川が流れ込み
川が入り組んだ危険な場所
となっていました。
航路の難所と言われた場所で
筏に乗った男性がいます。
その先に小さく見える綾瀬橋。
そして川の向こう岸が鐘か渕。
株式会社カネボウのおおもとである
鐘淵紡紡績は
この辺りに存在していました。
絵の手前にあるのは合歓の木(ネムノキ)。
夜になると葉が合わさり
眠っているように見えることから
この名がつきました。
夫婦円満の象徴、とも言われています。
夏に咲くこの花からは
桃のように甘い香りがするそうです。
「鐘か渕」の由来は
川の形が大工の使う”さしがね”=直角に曲がっている
の形に似ているからとか
近くのお寺から、亀戸に鐘を運んだ際
川底に落としてしまったから
と言われています。
危ない流れがあるこの場所で
筏に乗っている男性の背中を
夫婦円満の花が
やさしく、爽やかに
見守っているような
さらりと印象に残る作品です。
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