花と金魚

アンリ・マティス 金魚

油にて模写 つねきち


ゴッホが黄色の芸術家なら

マティスは赤を操るマジシャン。

金魚を描いたものは9作以上あるといわれていますが、

唯一この作品では

金魚そのものを描いているそうです。


マティスの作品は、つねきちが模写をはじめた頃にも

水彩で何枚か描きましたが

今回は初の油絵での挑戦。

やはり色使いとタッチが嵌り過ぎるほどです。

そう思っていたので

あえてあまり描かず

筆が慣れるまでとっておいた感じです。

無垢な赤い体に

何も投影されないつぶらな瞳。

金魚たちは水槽の中で

口をぱくぱくさせ、漂っているだけ。

アンリ・マティスは今から150年前に

フランスの裕福な商人の長男として生まれました。

父親は彼を将来性のある仕事に就かせようとしましたが、

マティスは20歳で絵の世界に興味を持ち

その後、セザンヌやゴーギャン、ゴッホなどの

後期印象派から影響を受け

フォーヴィズム(野獣派)として賞賛され

大胆な作風の絵を発表していました。



しかし、マティス自身は

フォーヴィズムと呼ばれる事に抵抗を感じ

約3年後からは

見ていて温かい気持ちになれる

癒しの絵を描くようになったそうです。

この金魚はその頃描かれたものです。

マティスはちょうどモロッコに滞在をしていて

その土地の人々が

何時間もゆったりと金魚を見て過ごす事に驚き

その感覚、文化に影響を受けました。

そして、線や色彩をよりシンプルにと

追求した先に取り組んだのが

切り絵だそうです。

単純な筆線、単純な色彩

わかりやすい美への追求。

そこには余分な思考は込められず

人が純粋に愛おしいと感じる事ができる。

これこそが本当の野生なのだと思います。

こんな思いが

障害を持ったつねきちの姿に重なります。

つねきちが花を描く事は

これまで殆どなかったのですが

この赤いお花たちは

なかなか素敵に描けているなぁ

と、母は思うのです。

マティスは自分のアトリエに

おびただしいほど多くの植物を置き

多い時には300羽といわれるほどの

鳥を飼っていたそうです。


この絵が清涼感に包まれ

多くの人に好まれるのは

彼が本当の自然・野生を愛していたからなのでしょう。


見る人の心をあたたかくする。

つねきちもそんな世界を目指しています。


模写絵師つね吉八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つね吉が描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つね吉流儀」をお楽しみください。

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