八景坂鎧掛松 ーはっけいざかよろいのかけまつー

歌川広重名所江戸百景より 八景坂鎧掛松


水彩にて模写 つねきち



現在のJR大森駅西口付近に

八景坂と呼ばれる坂がありました。


ここからは笠島夜雨(かさじまやう)・鮫洲晴嵐(さめずせいらん)

大森暮雪(おおもりぼせつ)・羽田帰帆(はねだきほん)

六郷夕照(ろくごうゆうしょう)・大井落雁(おおいらくがん)

袖浦秋月(そでがうらしゅうげつ)・池上晩鐘(いけがみばんしょう)


の八つの絶景を眺める事ができたそうです。

絵の中心にある大きな松の木は
高さ20メートル近くもあったそうで


源義家が奥州平定の際、
この地にある天祖神社へ戦勝祈願に立ち寄り
馬を繋いで鎧をかけ、休憩したのがこの松の下だといわれています。



八景坂からは品川の海がよく見渡せました。

急勾配をのぼる人々は
たどり着いたこの場所から眺める景色を
身近なご褒美として楽しんだことでしょう。

江戸時代の旗本・木原七郎兵衛吉次はここに陣屋と屋敷を置き
将軍家の鷹場の休憩地としても使っていました。

茶屋でくつろぐ人々や
籠に乗り移動する人が描かれています。

つねきちの母にとって大森は生まれ故郷です。


現在大森ララショッピングセンターが建つこの辺りには
昔の面影はないようですが
天祖神社は神明山天祖神社として
現存していて、八景坂のことが刻まれた
石碑が残っています。


美しい景色それぞれに名前をつけて
楽しんでいた当時の人々の
日常を愛する気持ちが伝わるような一枚ですね。


大きな松は明治時代に枯れてしまいましたが
こうして絵の中に残り続け
時の移り変わりを見守ってくれている気がします。




模写絵師つね吉八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つね吉が描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つね吉流儀」をお楽しみください。

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