木母寺内川御前栽畑 ーもくぼじうちかわごぜんさいばたけー

歌川広重・名所江戸百景・秋の部より 

 「木母寺内川御前栽畑」 

 つねきち水彩にて模写 


 現在の東京都墨田区内にある 

 「木母寺」(もくぼじ)の辺りの景色を描いた物です。 

 絵にあるような、隅田川と繋がる入江のことは 

 「内川」と呼んでいました。 

 木母寺は、平安時代に 京の貴族の子だった

「梅若丸」という男子が 

 人買いに攫われ この場所で命を落とした事を 

 ある高僧が憐れみ 

 塚を作り柳を植えて、供養したことが始まりです。 

 この「梅若丸の伝説」は 

 後世まで語り継がれ 

 能や歌舞伎の演目として上演され続けました。  

この辺りは景色も美しく 

 江戸時代・三代将軍家光の時には 

 「隅田川御殿」という別荘が建てられ 

 将軍たちの鷹狩りの休憩場とされたようです。 

 絵の奥の方にある緑の地は 

 「御前栽畑」(ごぜんさいばた・おんせんざいばたけ) と呼ばれ、

将軍に献上する 野菜を栽培していました。  

その後「生類憐れみの令」により 鷹狩りが禁止されると 

 この場所も廃れてしまいましたが 

 八代将軍吉宗の時代になると  食事のできる茶屋が建てられ 

 一般の人々も利用できるようになりました。

 絵の右下にあるのは 屋形船ではなく屋根船のようですね。 

 芸者さんらしい着飾った女性が、二人見え 

 賑わっていた様子が感じられます。

 桜並木も植えられていたようですが 

 秋の景なので、絵にあるのは紅葉かもしれません。

松の木々や草の葉など つねきちが細筆一本を 

 非常に繊細に使いこなし、描いています。 

 毎年4月15日を 梅若丸の命日として、

法要を行い 

 また、芸道上達祈願のために 

 多くの役者たちが、ここを訪れたそうです。 

 哀しい伝説が眠る美しい土地は 

 人々の重厚な想いと共に 

 艶やかな秋を見せる、一枚の絵となりました。 

 


つねきちの絵の世界で繰り広げられるストーリー!!

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模写絵師つねきち八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つねきちが描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つねきち流儀」をお楽しみください。

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