甲州石班沢 ーこうしゅうかじかざわー

KOUSHU KAJIKAZAWA

Here is the Kajikazawa of Yamanashi prefecture.

This place is rough waves of the valley.

A fisherman is working and his son is sitting.

Colorful Mount Fuji and they are triangulars.

It expresses a strong heart in the cliff.

現在の山梨県にある富士川町鰍沢には 甲州盆地にある幾つかの川が合流し、しぶきが飛ぶほど荒波の渓谷になっていたそうです。

そこで投網を引き上げている漁師がいます。 後ろに座っているのは子供のようです。

魚籠を覗き込んでいます。 

 漁師のもとに生まれ 翻弄されながらの海がちな生活を 

 ごく自然に受け入れ育った姿です。 

 この子も父親の後を継いでゆくことでしょう。  

働く父親の背中が見えます。 漁は成功したのでしょうか。 

 必死で引き上げる漁師の体に 緊張感が走ります。

切り出した岩に 泡立つ波がぶつかります。 

 漁師の「静」と対照的な動きです。

念入りに重ねられた つねきちの塗りぼかし。 

 本作は初刷りが藍色だけを使った幻想的なもので、

 後刷りに濃い緑と薄い橙が入ったそうです。 

 (当時は版画ですので人気に応じて再販があり、

お客の要望次第で色合い等も変えたようです)

ぴんと張り詰められた綱が 絵全体を引き締める役割をしています。  

つねきちのカラフルな 朝もやの富士。 

 でも実際はこんな風だったのかもしれません。 

 大自然とは予測のつかないものです。

 富士山は秒刻みで新しい姿を見せてくれますが 

 裏富士、と呼ばれるこの富士も なかなか斬新な色合いです。  

富士も三角なら 漁師と子供、岩、そして綱も 対照的に三角形を描き 北斎の幾何学的な頭脳をあらわすようです。

世界的にも有名なこの作品を どこかでご覧になった方もいらっしゃるかと思います。 

 崖っぷちで踏ん張る親子が 不動の富士と重なって見えます。 

 運命に翻弄されても ゆるがない心。 

 こうしてみると、折れても不思議ではない岩の上で 自分の道を信じ 行うべきことをする。 

 細かいことにこだわらずに ただやる。 そんな勇気を与えてくれます。 

 そしてその姿を 子孫に伝えることが私たちの役割です。 

 迷わずにただ務めたい そう思います。    


模写絵師つねきち八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つねきちが描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つねきち流儀」をお楽しみください。

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