駿州江尻 ーすんしゅうえじりー

現在の静岡県静岡市清水区内にあるビュースポットです。

不動の富士と風に煽られ狼狽える旅人の姿が対照的な絵です。

右中央あたりの白い部分は姥が池。傍には祠が置かれ、土地の神と共に過ごした人々の信心深さが垣間見えます。

空間を舞うのは左下の女性が持つ懐紙、その右横には天秤棒を担ぎながら笠を飛ばされた男性が手をかざしています。

中央にある背の高い木が、奥にある一本の線だけで描かれた富士山との距離感を知らせ、北斎の潔い構図を楽しませてくれます。


風に吹かれ狼狽えながらも次の目的地へと進む旅人たち。

そこに広がるのは人生の縮図のようです。

旅姿の女の懐から散っていく紙がドラマティック。

風を受けかがみこむ男性。

つねきちの筆づかいの進化が見える一瞬。

北斎の脈拍に

模写器としての鼓動を合わせているようです。

こちらはイギリスのジェフウォールという写真家が

北斎に影響を受けたという作品です。

こうしてみると

みな富士山に吸い寄せられているような気がします。





ブログの方もご覧になってみてください。↓

模写絵師つね吉八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つね吉が描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つね吉流儀」をお楽しみください。

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