愛宕下薮小路 ーあたごしたやぶこうじー

歌川広重・名所江戸百景・冬の部より

愛宕下薮小路

水彩にて 模写絵師つねきち



現在の虎ノ門1丁目あたり

愛宕山へと続く坂道の付近には

「薮小路」(やぶこうじ)と呼ばれる

場所がありました。

雪が積もった道をまっすぐ行くと

円福寺の赤い門があり、

さらに進むと芝・増上寺に着くそうです。

題にある「薮小路」は

手前の竹の奥にあるようで

この中には描かれていないのですが

近くにあった近江水口藩・加藤越中守のお屋敷の

鬼門よけの薮であったとも言われています。

道沿いを流れているのは「桜川」。

きちんと積まれた石に沿って

キラキラと

静かに道案内をしてくれているよう。

川の上に建っているのは辻番所だそうです。

サクサクと歩いてゆく一向の上を

雀達が元気よく飛んでいます。

よく見れば、前を歩く人の足元には

小さな犬もいたりして

寒さの中で息づく穏やかさを

全体に醸し出しています。

まるで功徳を積むように

どこまでも降り続く雪。

端正な筆づかいには

つねきちのやさしさが篭り

この絵を見つめていると

自然と心がととのってゆく。

そんな気がする、不思議な一枚となりました。




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模写絵師つねきち八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つねきちが描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つねきち流儀」をお楽しみください。

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