箕輪金杉三河しま ーみのわかなすぎみかわしまー

歌川広重名所江戸百景・冬の部より

箕輪金杉三河しま

みのわかなすぎみかわしま

つねきち水彩模写


現在の荒川区東日暮里のあたりの

湿地帯には

竹の囲いをめぐらせた

鶴の住まいがありました。

この鶴は、お正月朝廷に献上をする為のもの。

遠くの方で餌を運ぶ、飼育員が見えています。

手前にいるのは丹頂鶴で、

この他にもさまざまな種類の鶴が

餌付けをされていたようです。

毎年11月後半になると

この中のいずれかの鶴を

将軍が鷹狩りで捕獲し

お正月の料理に使っていました。

今聞くと、ちょっとつらいお話ですが

当時は「つるのおなり」と呼ばれ

最もおごそかな儀式とされていたそうです。

将軍みずからが放った鷹によって捕獲されたものは

「おこぶしの鶴」と呼ばれ、

鶴を捉えた鷹の鷹匠には金五両

鷹にはフサがつけられて

隠居が許された、ということです。

「つるのおなり」は

五代将軍綱吉の時に

生類憐みの令により廃止となりましたが、

八代将軍吉宗の時に

「武士の訓練と交流のため」に

復活されました。

実は、この絵に描かれている丹頂鶴は

霊鳥の扱いを受けていたので

実際に捕まえたり食べたりするのは

他の種類の鶴だったと言われています。


池はあおく冷たく

何度も塗られた湿地の緑は

しっとりと濡れて見えます。

絵のはしばし、遠くの景色まで

隙間なく描いたつねきちの細い筆。

雅やかに宙を舞う鶴の

惜しげもなく広げた羽が

枯れゆく季節に光を注いでいるようです。


模写絵師つねきち八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つねきちが描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つねきち流儀」をお楽しみください。

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