紀乃国坂赤坂溜池遠景 ーきのくにざかあかさかためいけえんけいー

歌川広重名所江戸百景より

紀乃国坂赤坂溜池遠景

きのくにざかあかさかためいけえんけい

水彩にて 模写絵師つねきち


港区赤坂に今も残る、紀ノ国坂を

のぼっていく大名行列がいます。

左側にあるのは弁慶堀。

江戸城を囲む外堀のひとつで、

ここの工事を請け負った職人にちなんで

名付けられたそうです。


右端に見える火の見櫓は

紀州徳川家の大きなお屋敷にあったもの。


この場所には、現在

赤坂御所と迎賓館があるそうです。


お堀の先にある森には

日吉山王第権現社(現・山王日枝神社)があり、

当時、江戸城の裏鬼門を守っていました。

その向こうには赤坂の街並みがのぞいています。

実際には2列あったといわれる大名行列の

1列だけが描かれており

ずらりと見える

つねきちワールドのお武家顔たち。

なかなか味のある表情で

特に前から2番目の人などは

実直そうな目鼻立ちをしています。

そして、先頭の人が持つ長い竿のようなものは

時代劇などでよく見かけますが、

「毛槍」(けやり)といって

長槍に鳥の羽や熊の毛で作った

カバーをかぶせたものでした。

これが各大名のシンボルマークで

家ごとに独特の所作があったようです。

その毛槍持ちの動きは

その後、各地の祭礼行列などに

取り入れられました。

大名行列は

本来、戦の行軍が移動する為の列でしたが

平和な時代が続くと

権威や力を誇示する為のもの

将軍への服従を示す為のもの

と、なりました。


とはいっても

どことなくコミカルな雰囲気が漂うのは

つねきち独特のタッチのせいでしょう。

遠くの景色のすみずみまで

びっしりと描いた筆の線からは

模写を愛し

楽しんで打ち込んだ

一途な思いを感じ取れます。

一瞬一瞬の出来事を

風景を

感情を

丁寧に、塗り込めた作品です。

模写絵師つね吉八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つね吉が描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目は時空を超えて当時の景色をそのまま映しているのです。 そんな独特の「つね吉流儀」をお楽しみください。

0コメント

  • 1000 / 1000