墨田河橋場の渡し瓦窯 ーすみだがわはしばのわたしかわらかまー
歌川広重名所江戸百景より
墨田河橋場の渡し瓦窯
水彩にて模写 つねきち
隅田川で一番古くから存在した
橋場の渡しは現在の白髭橋の辺りには
屋根瓦や茶碗を焼くための
窯場がありました。
当時の江戸では火事による被害が
多発していたので
これら今戸焼き、と呼ばれる窯は
防火の意味で水辺に置かれていました。
焼き物の原料には
荒川や利根川で採れる土を
使っていたそうです。
かわいらしい鳥は、ゆりかもめ。
昔は「都鳥」と呼ばれ、都の象徴でもあったようです。
名にし負はば いざこと問わむ都鳥
わが思ふ人は ありやなしやと
平安時代の歌人(貴族)在原業平が読んだ歌です。
内容は
都鳥の名のとおり、都をよく知る鳥たちよ
東国へ旅する私に教えておくれ
愛する人が無事でいるかどうかを
在原業平はひじょうに美男子であったそうで
伊勢物語の作者といわれています。
隅田川に言問橋(ことといばし)という橋がありますが
前述の歌「こと 問わむ」から
つけられたそうです。
対岸の堤には満開の桜。
そして水神社、民家があり
橋場の渡し船が浮かんでいます。
のどかな春の日を思わせる風景。
煙の塗りぼかしや
丸みのあるゆりかもめの姿、
渡し船の佇まいなどに
豊潤でゆったりとした
つねきちの筆づかいが生きています。
さまざまな逸話が詰まった
浮世絵をなぞり
この国を造ってきてくれた
ご先祖の皆様に感謝をささげる
それが、模写絵師つねきちの役割です。
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