真崎辺より水神の森内川関谷の里を見る図 ーまさきあたりよりすいじんのもりうちかわせきやのさとをみるずー
歌川広重名所江戸百景より
真崎辺より水神の森内川関谷の里を見る図
水彩模写 つねきち
江戸百景の中で一番長い題名となるこの絵には
南千住の隅田川付近にあり
当時庶民に人気だった料亭の
斬新な丸窓から見た風景が
描かれています。
真崎稲荷へお参りする人々で
このあたりの店も賑わっていたそうです。
早春の梅と筑波山の眺めは
甲子屋(きのえねや)
というお店の2階からのものです。
右手対岸のところに
水神社の鳥居が見えています。
つねきちも、障子の木枠など
非常に丹念に描きあげ
まるで見ているだけで
部屋の中にいるような気分になります。
外に咲く梅に対し
室内に飾ってあるのは椿の花。
広重の洒落た演出が
流行りの店の雰囲気を感じさせます。
松崎稲荷では
吉原の遊女が大いにご利益を得た
という触れ込みが
近辺にお客を集める元となりました。
料亭で名物の田楽を味わったあと
吉原遊郭へ船で行くのが
お決まりのコース。
お参りのあと食事をして帰るのは
本当の信者だけ、といわれていたそうです。
まだ肌寒い川辺付近で
お客を待つ屋根船がいます。
川の先には関谷の里があり
北斎の「隅田川関谷の里」を思い出します。
これらの作品は
江戸時代の観光ガイドといわれていますが
一枚の絵の中に
日本のさまざまな文化が
びっしりと詰まっているのを感じられます。
吉原の遊女へのご利益が
この地に活性をもたらしたとか
お遊びコースが生まれたり
商売での相乗効果で
人々が栄えていたこと。
今を生きる私たちにとって
大変興味をそそるお話でもあります。
さて、そんなご先祖様たちの
生き抜く強さを頂いて
私たちもさらに
やさしく強く
日々を消化していきたいと感じます。
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