品川御殿山 ーしながわごてんやまー
歌川広重 名所江戸百景より
品川御殿山
水彩にて模写 つねきち
東京・北品川にある御殿山は由緒ある高台の地
その昔、太田道灌や徳川家康が屋敷を構え
歴代将軍が鷹狩の際に休憩したり
重臣達のお茶会の場となっていたそうです。
八代将軍吉宗の時代に入り
桜と月見の名所として、一般開放されました。
それにしても
この黄色い崖が気になります。
実はこの崖は土地を削った断面。
幕末の日本に黒船が来航した際に削られました。
その土は江戸湾を埋め、台場をつくり
そこに、黒船を攻撃する為の砲台が置かれたといいます。
結局、その大砲は一度も使われず
むき出しの地層がここに残されました。
この名所を誰よりも愛していた広重は
あえてその痛々しい姿を描いたようです。
確かに、元絵を見ると
風景はもっと暗い色をしています。
つねきちはまるでそこに薬でも塗るように
明るい黄色とうすいブルーで
この土地に光をさしました。
朱色に咲き乱れる桜と
金色に輝く崖は
どこよりも美しい名所のようです。
1700年代に入ると
ここは地域の火事で焼失。
その後、桜の名所として再整備されましたが、
1861年頃、英国公使館を建設中に
尊皇攘夷派に襲撃され、全焼してしまいました。
昭和になり、この一帯には
ソニー本社が置かれ
それも、平成の時代に移転した為
現在ではソニー歴史資料館が残っているそうです。
名所をつくるのもこわすのも人ですが、
時が過ぎ、その姿形が変わったとしても
心の中に何度でも蘇る
美しい景色、美しい時
それらを大切に生きていきたいと思います。
0コメント