砂むら元八まん
歌川広重名所江戸百景より
砂むら元八まん
水彩にて模写 つねきち
現在の荒川河口付近には
深川・富岡八幡宮の元の姿
砂むら八幡宮がありました。
砂むらとは
当時この地を開拓した
砂村新左衛門からとったそうです。
白い帆をかけた船が
東京湾の海上を滑るように進んでいます。
その向こうに見えるのは房総の山々。
芦のように生い茂っているのは
矢竹(やだけ)だともいわれています。
矢竹とは
弓矢の矢に使う真っ直ぐな竹のこと。
お武家がよく庭に植えていたそうです。
つねきちはこの植物の線を
絵の中の全てを描き終えた
最後の最後に筆で一本ずつひきました。
確かに芦と呼ぶには強そうな茎です。
矢竹も芦も知らないつねきちに
感じるものがあったのでしょうか。
聖地でありながら、どこか
足を踏み入れにくい雰囲気のある場所です。
つねきちワールドの住民たちは
参道へと続く堤防の道を歩いています。
ここは海と川が混ざる環境のため
のちに八幡宮は移転となり
残された境内を人々は
元八まん様と呼ぶようになりました。
広重がこの絵を描いたのは
将軍家定が花見に訪れた時だとも
いわれています。
深川の富岡八幡宮ではなく
元八まん様を選んだのは
湿地に眠る鳥居の姿に
侘び寂びを感じたからかもしれません。
この絵を見ていると
どこか寂しいようで
強く厳しい雰囲気もあり
そこに咲く桜並木に救われる思いがします。
神の佇まいとは
そんな風なのかもしれません。
賑わう華やかさの後ろにある思い出を
大切にしながら わたしたちも
また前に進んでいける気がします。
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