大はしあたけの夕立 ーおおはしあたけのゆうだちー

歌川広重名所江戸百景・夏の部より「大はしあたけの夕立」

水彩にて・模写絵師つねきち


”大はし”は現在の中央区から江東区にかけて

架かっている”新大橋”のこと。

隅田川において三番目の橋で

徳川五代将軍綱吉の母・桂昌院が

江戸市民のため、将軍に建設を勧めた

と言われています。

実はつねきちが絵を描く時には

人物には絶対に雨や雪を当てない

人にはほんの少しも辛い思いをさせない

という流儀を貫徹していたのですが

今回は思い切って

強烈な雨の線を

これでもか、というほどに描いています。

何か心境の変化でもあったのでしょうか。

いえいえ、これは実は盛大な浄化なのです。

雨の線もそうですが

人物や橋の質感もしっかりと

とにかく力一杯の筆づかい。

そして、慌てふためく人々が、ちゃんと渡れるよう

橋桁をどっしりと頑丈に仕上げています。

絵の上部に連なっている影の部分には

幕府の軍事施設があったようです。

そこには三代将軍家光が造らせた

“安宅丸”(あたけまる)という

軍船がしまわれてありました。

大変立派な船でしたが、実用性がなく

後に解体されてしまったそうです。

そして”あたけ”という名前が地名として残りました。

びっしりと描きこまれた雨が

機密事項を覆い隠しているようです。

ゴッホも惚れ込み、油彩で模写をしたこの作品。

つねきちが降らせた豪雨が

強靭な意志の力を感じさせる

そんな野太い一枚となりました。







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模写絵師つねきち八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つねきちが描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つねきち流儀」をお楽しみください。

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