湯しま天神坂上眺望 ーゆしまてんじんさかうえちょうぼうー

歌川広重名所江戸百景・冬の部より

湯しま天神坂上眺望

ゆしまてんじんさかうえちょうぼう

水彩にて 模写絵師つねきち


現在も多くの参拝客で賑わう

湯島天神。

学問の神様である

菅原道真公が祀られている

このパワースポットに

江戸時代の人々が

雪道を踏みしめながら集まっています。

北側にあるのはといって

女子や子供が使いやすい

比較的緩やかな階段です。

対して東側にあるのが男坂。

社に早く辿り着ける急な階段があります。

女坂のある北側からは

不忍池や上野清水堂を眺めることができました。

繊細な同系色を塗り分け

木の枝に残る雪まで

柔らかに描き抜いた

つねきちの筆づかいが光ります。

この頃において江戸の寺社は

信仰だけでなく、庶民の行楽地ともなっていました。

境内には芝居小屋や茶店などが並び

現在の宝くじにあたる

富くじで大人気を得ていたそうです。

特にこの湯島天神は

「江戸の三富」の一つ、と呼ばれるほど賑わっていました。

幕府は賭博を禁止していましたが

仏閣の修繕費用の手段としての

富くじは販売されていたのです。

当選金額は多数準備されましたが

特等賞は千両(約一億二千万円)にものぼったそうです。

しかし、富くじに当選すると

お寺などの関係者に合計25%ほどの

手数料を払わなくてはいけません。

それでも高額当選への夢は

人々を奮い立たせました。

富くじは天保の改革で禁止となりましたが

紅白が富を呼んでくれそうな

整然と配置された美しい風景

それを見ているだけで

明るい未来がやってきそうな気がします。


模写絵師つねきち八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つねきちが描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つねきち流儀」をお楽しみください。

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