深川洲崎十万坪 ーふかがわすざきじゅうまんつぼー

歌川広重名所江戸百景・冬の部より

深川洲崎十万坪

ふかがわすざきじゅうまんつぼ

水彩にて 模写絵師つねきち


江戸時代、現在の江東区にあたる場所には

海を埋め立てて作った

広大な土地がありました。

深川は大いに栄えていましたが

そのはずれにあった十万坪では

高潮の被害があり

人々が住める状態ではありませんでした。

幕府から居住禁止とされたこの場所で

大きな鳥が悠々と空を飛んでいます。

ワシ・大鷲という説もありますが

ここでは鳶(トビ)として

お話を進めます。

日本で最も身近な猛禽類・鳶は

ほとんど羽ばたかず

風に乗って空を旋回します。

そしてあの甲高く優しい鳴き声は

厳しい季節を懸命に生きる力を感じさせます。

野性の生き物の儚さと美しさ。

つねきちはこの光り輝く一瞬を

この鳶への愛と共に描きました。

海に浮かぶ桶を狙う鋭い眼光。

冷え切った鈍色の空で

雪の粒を浴びながら

強風と一つになった鳶の姿です。

遠くに見える筑波山が

鮮やかに生き抜く鳶の姿を

そっと見つめているようです。

斬新な構図に見える

透き通るような大自然。

現在、このあたり(江東区木場)に残る

洲崎神社は

都の指定文化財とされ

多くの参拝客で賑わっているそうです。

模写絵師つねきち八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つねきちが描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つねきち流儀」をお楽しみください。

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