御厩河岸 ーおうまやがしー

歌川広重名所江戸百景・冬の部より

御厩河岸

おうまやがし

水彩にて 模写絵師つねきち


現在の東京都台東区にある場所には

幕府の米蔵がありました

ここを蔵前といい

その北側に将軍家の厩(うまや)があったそうです。

それにちなんで名付けられたのが

御厩の渡し(おうまやのわたし)。

夕方の、暗くなる前に

移動しているさまざまな船が

川に浮かんでいます。

遊びの行き帰りに使う

猪牙舟や屋根船。

そして、筏(イカダ)に乗る女性たちがいます。

彼女たちは幕府非公認の商売をしている

遊女の盛りを過ぎた

いわゆる夜鷹と呼ばれる存在です。

この絵の2年ほど前に起きた

大きな地震のあと

夜鷹になる女性が増えていました。

時代劇などにも出てきますが

この頃の夜鷹さん達は

個人ではなく、元締めに登録をして

用心棒をつけながら、動いていたようです。

そして、その夜鷹さんたちが

好んで食べたというのが

「夜鷹そば」。

他の飲食店が閉まっている夜中に

川べりで

営業していた屋台です。

このお蕎麦2〜3杯の値段が

夜鷹さんの花代と同じぐらいだった

と言われています。

まあ、しかし

決して美味しいお蕎麦ではなかったよう。

それでも彼女たちの心と体を

十分に温めてくれたのではないでしょうか。

こちらの元絵を見てみると

もう少し、薄暗い雰囲気で

遊女たちの顔も青白く描かれていますが

つねきちが描くと

なぜだか明るいムードになります。

夜鷹さん達は楽しく談笑し

後ろに座っている用心棒も

優しい微笑みを浮かべているのです。

とにかく、たくましく

強く生きる

つねきちワールドの住人なのでした。

模写絵師つねきち八卦鏡

知的障害を乗り越え描く、無垢な魂の筆使い。 つねきちが描く色合いは、渋みが主流の浮世絵とはちょっと違っています。 彼の目には江戸時代の景色がそのまま映っているからです。 そんな独特の「つねきち流儀」をお楽しみください。

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